類まれなる美貌と天性の人懐っこさを駆使して、老若男女問わず他人の懐にするりと入り込み、ただ飯を食う……、所謂「ヒモ男」の夏生。そんな夏生の記憶の中には、忘れられない女性がいた。食べることが大好きで、眩しいくらい明るい愛おしい人。彼女のためにこれからもごはんを作りたいと願った夏生だったが、幸せな時間はそう長くは続かなかった。夏生が蓋をしつづけた昏い過去と、手放さなければならなくなった未来とは――…?「食べちゃえば残らないけど、おいしい記憶は残るよね」食べることは生きること。心の仄暗いところと色鮮やかな食事で彩るヒューマンドラマ、完結。

