いつも座っていた席に、見知らぬ美しい女子が座っていた日。美花はそこで菜奈と出会う。圧倒的な存在感を放つ彼女は、初対面なのに自然に距離を詰め、「あなたを特別にしたい」とまっすぐに告げてくる。誰にも選ばれない人間だと信じ込んでいた美花の心は大きく揺れ動いた。次第に一緒に過ごす時間が増え、互いを「親友」と呼び合うようになったふたり。しかし菜奈は恋に不器用で、片想いを繰り返すたびに弱さを見せ、美花の前だけでは素直な姿をさらけ出す。そんな菜奈に、美花もまた「自分だけの特別な人が欲しい」と胸の内を明かすのだった。友情と恋の境界線が曖昧に揺れる中、ふたりの関係は少しずつ確かなものへと変わり始めていた――。※この話は、「彼女の特別、私の特別。」の第1話(本文16p、配信用おまけ2p)です。