ここのところ巷には景気のいい話が溢れている。日経平均株価が史上最高値を突破、金価格史上最高に、春闘満額回答続出……。だけど実感は乏しい。では一般的な働く人たちの金銭事情はどうだろう。平均年収は478万円だが、実質賃金はマイナスが続き、プラスに転じることはあまりない。社会保険料も上がっているし、物価高もあって、生活に余裕ができたと感じている人は少ないと思う。格差の固定化も心配なことだ。正社員と非正社員の賃金格差は大きく、正社員が平均545万円なのに対して非正社員は平均206万円。人手不足というのにこれでは「やってられない」と怒って当然だが、格差が縮小される可能性は低い。そんな格差社会の下層に生きる人々の暮らしはどのようなものか。現在の生活の状況、低収入となるに至った経緯、どんな苦労や悩みがあり、どんな将来の展望を描いているのか。そういった生の声や証言を、取材を通して集めたノンフィクション。
