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血染の袍(1)

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480
彼はいつも、一着の古びた袍を身にまとっていた。それは、とうに亡くなった一人の女が、生前、その手で縫い上げたものだという。遠い昔――女は瀕死の彼を背負い、血に濡れた山道を、一歩、また一歩と進んでいた。その身から流れ出る血は、すでに尽きようとしていた。顔は紙のように白く、息も絶え絶えであった。それでも彼女は、不思議なほど穏やかな顔で、彼にこう告げた。「少し……疲れましたね」それが、彼女の最期の言葉となった。以来、彼はその袍を決して手放さなかった。破れれば繕い、繕えば、また破れた。幾度となく針を通し、継ぎ布を重ね、そうして彼は、百年もの歳月、その袍をまとい続けた。彼の傍らには、いつも一匹の猫がいた。だが、その獣を果たして猫と呼んでよいものか、誰にもわからない。姿かたちは、確かに猫に見える。されど――この世に、三千年もの時を生きる「猫」など、あろうはずもない。彼は、多くの人を殺してきた。その数を知る者は、もはやどこにもいない。ただ袖をひと振りするだけで、人の頭は、石畳に叩きつけられた西瓜のごとく、たちまち砕け散ったという。死者は、あまりにも多かった。その名を聞けば、人々は戸を閉ざし、泣く子さえ、たちまち声を潜めた。彼を恐れる者たちは、ひそかにこう呼んだ。――悪鬼、と。だが、彼が求めていたものは、不老長生ではなかった。仙籍に名を連ねることでも、天地を意のままにする神通力でもない。彼が願ったのは、ただ一つ。ただ一度きりの成仙の機縁と引き換えに、あの日、血を流し尽くして死んだ女を――再び、この人の世へ呼び戻すことだった。

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