【小説すばる新人賞 受賞後第1作!】
俺は本来、ランナーを名乗ってはいけない人間だ。
己の役割も知らず、ロードの上を幽霊のように今もこうして彷徨い続けている。
実業団の長距離ランナー・柴田光輝は、脚の故障により選手を引退した。
しかしそれは不慮の事故ではなく、終わりなき競争の日々に疲弊した柴田自身が仕組んだものだった。
思惑通り実業団を辞めることに成功した柴田だったが、
地方の保険営業所に異動させられ、悪質な保険セールスに携わるなか、次第に精神をすり減らしていく。
そんなある日、柴田は「ブラインドランナーの伴走者をやらないか」と誘われ、再び陸上の世界に舞い戻ることに。
それは「なぜ走るのか?」という問いに向き合う旅路のはじまりでもあった。
己の存在証明にひた走る、
ひとりの青年の軌跡を描いた異色の青春譚。
